これはあなた
ティノ・セーガル
2022年、ダンス リフレクションズ by ヴァン クリーフ&アーペルは、KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭におけるティノ・セーガル作「これはあなた」の上演を支援しました。
一度として同じかたちにならない、行為と場のクリエーション
KYOTO EXPERIMENTとダンス リフレクションズ by ヴァン クリーフ&アーペルは、世界的に注目されるアーティスト、ティノ・セーガルによるプロジェクトを共同開催し、「これはあなた」(2006年初演))の日本初上演を実現しました。このライブアート作品と併せて、ポストモダンダンスの源流とその継承について紐解くビデオダンス企画とトークも開催されました。
セーガルは、絵画や彫刻のような“もの”をつくるのではなく、ある“指示”をインタープリター、すなわち翻訳者と呼ばれる参加者に出し、それが訪れる人たちの前で実行され体験が立ち上がる、ということを自身の創作としています。そのため、セーガルの作品は、写真や映像で記録されることがなく、その場でしか見ることができません。
「これはあなた」は、京都市京セラ美術館の日本庭園が舞台となります。ここでは、翻訳者が歌い手となって、開かれた庭園を訪れる人たちと1対1で向き合い、その人の姿や印象を、とびきり気さくに、親密なかたちで翻訳して伝えます。それは、そのときその場所でしか得られない、はかなくも記憶に残る体験となるのです。
写真:© 来田猛
アーティストについて
ティノ・セーガル
ティノ・セーガルは、1976年にロンドンで生まれ、現在はベルリンを拠点に活動するなかで、"constructed situations"と呼ばれるインスタレーションを制作しています。ベルリンで政治経済を学び、ドイツのエッセンにあるフォルクヴァンク芸術大学でダンスを学びました。セーガルは、人間の身体、声、社会的相互作用のみを使って構成された作品で知られています。彼の芸術活動は、社会的な出会いの一瞬のジェスチャーや繊細さに焦点を当て、物質的な対象ではなく、参加と開かれた交換を価値の主題としています。これまでに、グッゲンハイム美術館(ニューヨーク、2010年)、テート・モダン(ロンドン、2012年)、アムステルダム市立美術館(2015年)、パレ・ド・トーキョー(パリ、2016年)、小田原文化財団(2019年)、ブレナム宮殿(オックスフォード、2021年)などにおいて、個展が開催されています。
写真:© Ornella De Carlo, Courtesy MAMbo – Museo d’Arte Moderna di Bologna